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六本木にある東京ミッドタウンの芝生広場にドドンと現れた奇妙な物体。
建築家の磯崎新氏と彫刻家のアニッシュ・カプーア氏のデザインによる移動式コンサートホール「ARK NOVA」だ。それが生まれた経緯は他のサイトなどに任せるとして、単純に物体として、あるいは空間としてどう体験できるのかをまとめてみた。

コンサートホールだけど普通に入れる

コンサートホールだからコンサートに来た人しか入れないんじゃないか、と思いがちだが普通に入れる(日程は決まっているので注意)。

ただし入場料500円。
レシートはもらえない。
小学生以下は無料。

入ったからといって何をするわけでもないが、空間を体験できる。
そしてインスタ映え(笑)するような写真が撮れる。
実際多くの人は空間を感じるというよりいかに映える写真を撮れるか位置を探っていた。
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コンサートホールだけあって席はたくさんあるから適当に座って休みながらこの建築を体感すればよい。ただ、けっこう暑いので小さい子連れは注意。

外と内のギャップ

テント建築自体は別に目新しいものではない。
日本人に馴染みの深いものでは1970年の大阪万博に登場したテントのパビリオンや東京ドームなど挙げられる。

あれを作ったのは太陽工業という会社であり、今回のアーク・ノヴァもその系列のTSP太陽という会社によるものだ。いろいろ作ってきた実績があるのだから今回のデザインもお手の物だったであろう。

こういう3次元の曲面が連続した造形は2次元の平面である膜素材からどのようにパーツをつなぎ合わせていくかによって出来上がる空間が全く異なってくる。そういう意味ではこのアークノヴァは手堅くうまくデザインされていた。

作者のAnish Kapoor氏といえばシカゴにあるあの巨大な鏡面ステンレス豆「Cloud Gate」が有名だが、この造形もこれまでの流れの中に位置付く。
Cloud_Gate_(The_Bean)_from_east'
Cloud Gate from Wikipedia 

アークノヴァは外側から見ると茶色いツヤツヤした物体で真ん中に絞り込まれたような穴が開いている。
色から受ける印象からも言葉は悪いが肛門のようにも見える。
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うちの6歳の息子はアークノヴァを海に浮かべて中央にある穴から滑り降りてみたい、とのこと。確かに空気で膨らませるテント建築は浮かべたら楽しそう。東京ドームのような地面にへばりつくデザインとは違い、こちらはコロンと地面に乗せられているようなイメージだからそう思わせるのであろう。

ここまで巨大なバルーンを膨らませるためにはそれなりの装置が必要である。
残念ながらそこまではデザインが行き渡っていなかった。
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中に入ってみると外観のコロンとしたイメージとは違い空間の広がりを感じられる。
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外からは茶色く見える膜も太陽の光を通すと紫色のように見え、空間の上質さに貢献していた。
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空間を貫くチューブ状の膜がもっと空間の中で主張してくるかと思っていたが、思いのほか静かに添えられている感じ。真ん中にドドンと置かれたスクリーンが空間をぶった切ってしまっているとうこともあるのだろう。
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なぜこんなところにこんなデカイもの置いたんだろう。コンサートを見に来ないただの見学者にはこの空間を100%味わうことを許してもらえないのだろうか。


仮設だけど細かいところに気が利いている

ベンチもちゃんとデザインされていているのでよく見てみよう。
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そして座面の上に乗っているのが四角くカットされただけのスポンジだ。
ベンチの素材や作りのザックリ感とスポンジクッションの素っ気なさが妙にこの空間にマッチしている。仮設なのに細かいところに気を配られているので満足度高めの空間に仕上がっている。

隣の21_21にも展示があるが・・

同じミッドタウンにある21_21 DESIGN SITEにも現在の企画展「そこまでやるか 壮大なプロジェクト展」においてこのアークノヴァが展示されている。
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ただあくまでも模型があるだけなので現物を見たほうが何千倍も楽しいし実感できる。そのあたりの顛末は次の記事を参考にしてほしい。
【記事】そこまでやるか展、展示内容もそこまでやってほしいなあ

まとめ

今回ぼくは6歳と1歳の息子たちと妻を連れて行ったわけだが、とにかくなんか普通の建物と違うということがわかりやすいデザインだったのが良かったみたい。この建築が何よりも良いというわけではないが、デザインは自由なのだ、ということが子供たちに伝わったのであれば収穫である。

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